ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

人のいい性格があだとなり会社が荒廃
自分と向き合うことで組織が生まれ変わった

町田パートナーズ公認会計士・税理士事務所

代表 町田 孝治

社員がドンドン辞めていった原因が判明

ちょうどそのころ、100億計画に向けて積極採用していたことが裏目に出て、会社の収益性が悪くなってきていることが発覚しました。

それまで、社員から「人が足りない」と言われるとドンドン社員を入れる…という感じで増やしていきました。そしたら、なんかこんなに人が増えているけど、この仕事量をこなすのに、こんなに人が必要なのかな、という状態になりました。

社員が増えると、いろんな人がいるわけです。
それまでは、紹介とかで社員が入ってきて、こっちが黙っていても真面目にコツコツ働く人しかいませんでした。そのつもりで50人採用したら、その中に働かない人、できればさぼりたい人がいたんです。
私やリーダーたちの中に基本的に“放置の文化”があり、例えば3時間ぐらい会社から抜け出しても誰にも気づかれない、または気づかれても咎められない、といった異常な状態にありました。私としては当たり前に、みんなちゃんと働くと思っていたのです。今思えば言い訳になりますが…。

また、それまでは、社員が辞めることはほとんどなかったんですが、2016年に入ってからポツポツ辞めるようになってきました。その後は、毎月のように人がドンドン辞めていって、2017年末には35人ほどになってしまいました。結構こたえましたね。

ここで初めてその原因は、私自身の中にあることに気づいたんです。

私は、基本、人に任せてしまうタイプなんです。悪く言うと放置しちゃうタイプ。
人のよい面だけを見て褒めるのは好きだし上手なのですが、「いけないことはいけない」と叱る言う事ことができず、「最低限これは守ってよね」という厳しさがなかった。
そうすると、みんなやりたい放題ですし、社内では声が大きい人の意見が通る雰囲気で、どちらかというと黙って真面目にコツコツやっている人たちが犠牲になるという感じになってしまいました。

放置主義(?)の弊害は他にもあります。例えばベテランの人たちの下に、それぞれ社員をつけて育てていくのですが、会計サービスという枠組みは一緒であっても、サービスに対する根本的な考え方がバラバラなのです。そのため、部署異動で違う人の下につくと、「それは違うから。あいつの言うことはもう気にしなくていいから、私のやり方でやってね」という話になったりするのです。

そうすると、社員としては、「僕が学んできた数年間はなんだったんだ!」という感じになりますよね。社員の中に「うちのやり方はどれが正解なの?」と迷いが生じ、結局、下の者が犠牲になってしまったんです。
そこのところを、気づいていませんでした。

また、人はスキルで採用していたのですが、スキルはあるけど成長意欲のない人もいます。そうなるとその人たちが、頑張っている人に対して「そんな一生懸命仕事はしなくていい、適当にやってればいいから」と言ったり…。結局、頑張っているいい人たちがいづらくなってしまいました。

自分の会社なのに何も見えていなかった。そして、そこに気づいたからこそ本気で取り組もうと心に誓いました。

夜通し飲んだ結果…

その状況を受け、私は当時の主要メンバー3人を集めて、食事をしながらの話し合いの場を設けました。テーマは、3人の仕事のやり方のいい所どりしたものを一つの方針にまとめ、それを「経理の最適化モデル」としてうちの会社の標準サービスとしたい、というものでした。

それができれば、①うちの持つノウハウを結晶化することができる、②サービス品質のばらつきがなくなる、③社員が個人ごとの方針に振り回されることがなくなる、④教育がスムーズにできる、というメリットがあります。その一方で、今まで自由にやっていたものの自由度が制限されてしまうというデメリットが生じます。

このことはそれまでも言い続けてきたことであり、現状をみれば納得してもらえると思っていましたのですが、幹部たちは「私たちに違いはない」の一点張りで、何度話しても理解は得られず、その会はお開きとなりました。

チーム「我が家」

その後私は、いつものパターンで、自分の力でこの状況を打開しようとします。

現場にはほとんど出ていなかったのですが、私の直轄チームをつくり、「楽しみながら仕事をしよう」といことを目標にしました。チーム名をメンバーから募り、「我が家」という名に決定しました。このチームで、退職する社員の仕事を次々と引き受けていきました。

このチーム内で、私なりの理想の姿を実現しようと試みました。全社的に進めようとしても反対され、強引に進めても上手くいかなかった事をチームで試してみたのです。
・経営分析ツールの活用
・自動取込ツール活用による効率化
・単純作業の外部業者の活用
・アシスタントの業務拡大
などです。毎日3~5件のアポが続く中、個人的には忙殺されながらも、チャレンジと補正を繰り返しながら形を作る事ができ、自信を取り戻す期間にもなりました。

ただ、このときは、自分のチームのことだけを考え、会社全体のことにはほとんど目を向けていませんでした。その他の社員も真面目にがんばっているのに、「自分は注目されてない。自分はこの会社に必要ではない」と感じさせてしまったと、今考えると思います。
そのせいもあってか、社員の問題行動やトラブル・クレームも増えていきました。

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