ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

人のいい性格があだとなり会社が荒廃
自分と向き合うことで組織が生まれ変わった

町田パートナーズ公認会計士・税理士事務所

代表 町田 孝治

町田パートナーズ公認会計士・税理士事務所の代表である町田孝治氏は、理工学部卒業後、公認会計士の資格をとられ、31歳という若さで独立されました。創業10年目にして社員55人も抱える大所帯となったのですが、人のよい性格のゆえ人に強く言えず、自由気ままにふるまう社員が増えて、会社が荒廃してしまったそうです。しかし、学びの成果により、今は落ち着きを取り戻し、仕事がやりやすい環境になったとおっしゃっています。どのような問題がおこり、その問題についてどのように対処していかれたのでしょうか。

父や兄と同じ道へ

私の父は会計事務所を経営していました。兄が会計士に合格したため、跡継ぎが決まったことから、私は自分の好きな道を歩めると思い、数字や理系的なアプローチが好きだったので大学は理工学部に進みました。大学では、経営や業務効率化を主に学び、プログラミングや統計学なども学習しました。

家族みんながやっていることもあって、大学3年生のとき、少し簿記の勉強を始めました。これが結構面白くって、夢中になっちゃったんです。それで、やはり会計士を目指そうと思い、4年生の夏休みから猛烈に勉強しました。

大学卒業後、半年で会計士に合格し、大手の監査法人に入社しました。上場企業の決算書が「正しくつくられている」とお墨付きを与えるというのが監査の仕事です。

入社したころは意欲満々だったのですが、実際にやっている仕事は、間違い探しみたいなもので、「せっかく会計の勉強をしてきたのに、どうなの?」「あまり面白くないな」と思うようになり、辞めることにしました。

結婚した直後に辞めたので、半年間、妻と一緒にヨーロッパを放浪する旅に出ました。途中、スペインで語学留学もしました。

順風満帆で大きな目標を設定

帰国後、兄が経営している会計事務所に入ったのですが、自分の力を試してみたかったので、2006年、31歳のときに独立しました。

お客さん0からのスタートだったのですが、知り合いからの紹介や紹介業者からの紹介で、取り引きは順調に増えていきました。

お客さんが増えてきたのと、社員も5人になり手狭になったので、吉祥寺のオフィスから、2009年に田町へ移転しました。

このころまでは、お客様や社員にも恵まれ、自分でも驚くほど順風満帆でした。

2010年、10か年計画というものを立てました。「10年後の2020年までに社員を100人にする」という計画です。その当時はまだ決まってなかったのですが、「2020年に東京でオリンピックが開催されるはずだから、そしたら、1つのブースを貸し切って100人で応援するぞ!」というノリで旗印を掲げました。

当時はいけいけドンドンで、年間10人ぐらい採用し続けました。それだけ、業務も増えていたんです。集客の柱となるWebサイトが2つ立ち上がり、これが爆発的にあたって、仕事がバンバン入ってきました。

2015年には、社員が55人ぐらいにまで膨らみました。

今から思うと、そのころから雲行きが怪しくなってきたわけですが、本人的にはあまり問題があるとは思っていませんでした。

そして、このタイミングで、さらに目標を高くしようという野心が生まれ、「2020年に100億円の売上を目指そう!」と本当に無茶な目標設定をしました。当時が、高い目標を設定をすることで、100億いかずとも売上20億でも十分に大きな成長だから、目指す価値は十分ある、と考えていました。

これには私の過去の成功体験があります。今までも、高校受験や剣道や空手の大会、公認会計士の受験の際など、周りから「それは無理だ」「バカ言ってるんじゃない」と言われるような目標設定をしたことがあるのですが、それらの目標をすべて達成してきました。

この自信から、口に出せば現実化する、それを会社全体でやってみよう、と思っていました。ですが、過去の成功体験は自分一人で一人の世界に没頭すればよかったことでしたが、今回の挑戦はみんなと一緒に共感を得ながらでないと実現できない、という大きな違いがありました。

学び始めるも、学びを会社で活かさず

2015年6月、ワールドユーの会員である山崎文栄堂の山崎社長にお会いする機会があり、そこでの研修をとても熱心に勧めてくださいました。私は当時そこまで必要性を感じていませんでしたが、今思うと本当に誘っていただいてよかったなと感じています。

最初の1年間はコミュニケーションのスキルを学んだのですが、すごくためになりました。
例えば、言葉の受け止め方です。
数字の世界では、正解は1つしかなくて、100人がやっても必ず同じ答えが出ますよね。でも、言葉に関してはそれとは違っていて、同じ言葉を投げかけても、100人いれば100通りの受け止め方があるということに気付きました。

また、「人っていうのは、嫌なときにこういう反応をするんだな」とか、「人を傷つけないようにするためには、こういう風に表現すればいいんだな」とか、いろいろ勉強させてもらいました。

ただ、私は数字の世界に長くいたせいか、「そっちはそっちの世界だよね」と感じ、最初のころは、学びを会社で活かすイメージができていませんでした。

今から思うと、「何のために研修きてんだ?」って感じです。

ですから、トレーナーの方に「その考え方は間違ってる」とか言われても、あまり真剣に受け止めず、「自分は自分のやり方でやってみます。今はいい感じだし、失敗だって糧になるし…」などと答えていました。

自分としては大丈夫なはずだ、と思っていたんです。ここで学んではいるけど、うちの会社はちょっと違うと、とらえていました。

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