ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

新しいことに挑戦したら、
すごい世界が見えた。

アールアイ株式会社

常務取締役 大宅 朝美

自分を見つめ直す大切さ

内省内観については、「自分が今、何を感じているのか」というように、自分を見つめ直すことは今までなかったので、その点がよかったと思っています。でも、見つめ直すのって、苦手なんです。見つめ直すと、自分の触れたくない部分が出てくるから…。

初めて自分自身を深く探究した時、最初は何にも出てこなくてあせりました。一緒に参加した人たちはポンポン出てきているのに…。でも集中して探究していたら、 “卑怯”や“臆病”、“憎しみ”など、いやなワードばかり出てきました。何とか絞り出した感じでしたが…。また「だれも信用できない」「人とは距離をおく」といった言葉も出てきました。

次に、それらの言葉一つ一つを掘り下げていきました。すると、例えば、「だれも信用できない」というのは、子どものときにたまたま一人ぼっちにされて恐怖心を覚えた、という体験が刻まれていたことに気付きました。その体験に対していろいろ考えているうちに、「その体験って、たまたまあっただけじゃない?」「自分が思っているようなことじゃなかったよね」と思えるようになりました。そのように上書きしていって、「あっそうか」と自分で納得して変わっていく感じでした。

自分のことはよく分からないのですが、自分を見つめ直して上書きできると、“キラキラになる”というのはみなさんを見ていてよく分かります。別人のように明るく、朗らかになった人を何人も見ました。

こうして、自分自身のことは、だんだんとわかってきたのですが、私にはまだまだ足りないものがありました。

カナダ研修に参加するという奇跡

令和元年、昨年の夏、社長に「カナダ研修に参加しよう」と誘われました。私は最初、かたくなに断っていました。体力もないし、人に絶対迷惑をかけると思っていたからです。

というのも、以前、会社のチーム4人で屋久島のモッチョム登山に参加した時、「絶対登頂しよう」と意気込んで登ったのですが、私のせいでうちのチームだけ登頂できなかった、という苦い体験があります。みんなに助けられながらも、私がついて行けず、チームみんなで途中の展望台で引き返してきたのです。その時、本当に申し訳なく思いました。「みんな登頂したかったろうに、迷惑をかけてしまった」と。

そんなことがあったので、お断りし続けていたのです。でも、トレーナーの栄子ちゃんから「大丈夫よ。無理しないでいいし、行けなかったらお休みしてもいいし」「こんなチャンスないからおいでよ」と背中を押していただき、「せっかくのチャンスだし 不安がいっぱいでしたが、人には絶対迷惑かけないようにしよう」と思って挑戦することにしました。これは私にとって とっても大きな決断でした!

いざ参加してみると みなさんが暖かく迎え入れてくださって「迷惑かけちゃう」なんて考えること自体が迷惑、という印象を受けました。

こうして、ドキドキとワクワクが入り混じりながら、私にとって初のカナディアンロッキーへの挑戦が始まりました。岩がゴロゴロしている道なき道を歩いたりするので、登山自体は結構きつかったのですが、みなさんが声をかけてくださったり、ベテランの方が後ろに入ってくれたりしたので、安心感がとてもありました。また、そのパワーを背後に感じながら、登ることができました。不安でおしつぶされそうだった気持ちが、日を追うごとに楽しさに変わっていきました。

でも、案の定といいますか、途中で左足をくじいてしまい、腫れるほどになりました。二日後には最後の山、一番難関な山を登ることになっていました。「これはまずい 私のせいでチームが登頂できなかったらどうしよう・・」と思ったのですが、ここまで来て、最後の山を登らずに帰るということはできません。屋久島モッチョムのことが思い出されました。「皆さんに迷惑をかけてしまう…絶対に登らなければいけない。」私の中でまた不安がいっぱいに広がりました。

しかし、そんな私の不安をみなさんはいとも簡単に打ち消してくれました。

登山前日、みなさんが打ち合わせをして、「どういうふうにしたら、チームみんなで登頂できるか」ということを一生懸命考えくれていたのです。 スムーズに登れない私たちの荷物を誰が分担して持つか、登りがきつくなったら、だれが後ろにつくとか、そういう事まで決めてくれていて…。こんなにも考えてくれていたのだと本当に驚きましたし、胸が熱くなりました。「迷惑かけちゃう」なんて考えること自体が本当に迷惑で、私は自分の事ばかり考えていたことに気づかされました。自分の情けない感情はどうでもよくって、仲間全員で一緒に達成するためにチームとして何ができるのか、そのために自分は何をすべきなのかをシンプルに考え、行動することが一番大切なことで、その上で仲間の一員として受け入れられる喜びや、チームとは何なのかを教えて頂きました。 そして、「絶対に登らなければいけない」という気持ちが「このチームの一員として、みんなと一緒に登りたい!」と自分の気持ちの変化がはっきりと分かりました。

当日、ガイドさんも心配してくれて「痛かったら無理しないで早めに言ってね」と言われながら、最後の山に登りました。最初は少し痛みを感じたのですが、登っているうちに痛みが消えてしまったのです。ガイドさんも「痛くないですか?」とかしきりに心配してくれたのですが、「それが痛くないんですよ」と答えていました。気が勝りますね。あれは、ホント不思議でした。

みなさんにサポートして頂きながら 一歩一歩、無我夢中で進んでいったところ、頂にたどり着きました。 パッと目の前の景色を見た瞬間、360度のパノラマ、空気が澄み渡り、みわたすかぎりの山々、まるで映画でみるスクリーンの一部分に仲間と一緒に自分がいるのが嘘のようで、大自然の雄大さを目の当たりにし、想像を超える地球の美しさに感動しました。「うそでしょう!」「私、ここに来られたんだ!」と達成感でいっぱいになりました。 仲間がいる心強さ、人の力、パワーを感じました。まさに仲間といるこの場所がパワースポットだと思いました!

社長とは違うチームだったので、登山から帰ってきて登頂したことを報告すると、「いやー、無理だと思っていたのに、すごいじゃん!」と、とても喜んでくれました。 社長には、このような貴重な体験をさせてくれたことに、とても感謝しています。

 

それ以来、私の中では「迷惑をかけちゃいけない」という制限がなくなりました。 今までは、「迷惑をかけちゃいけない」=「やらない」という感じになっていましたが、その法則がないのです。「どうにでもなる!」という気持ちが強くなり、「こんなの無理!」というのはなくなりました。「なんとかなる、仲間と一緒にどんなことも乗り越えられる」と。そして何より、新しいことに挑戦したら、ものすごい世界が見えるとわかったことが、私にとって、とても大きかったです。

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