任せてもいいんだ
ワールドユーの会員である山崎文栄堂の山崎社長と、会社の現地見学会でお会いした時、「こんなセミナーあるよ」と教えていただき、ワールドユーに通うことにしました。 何をやるのかもよく知らないまま入ったのですが、当時私が興味を持っていたことが学べるんだな、という思いがあり、まずは3年間続けてみようと思いました。
そうして、スタートした学び自体はとても楽しかったです。自分にきちんと向き合ってないことや自分の殻の中でしか生きていないことに気付いたり、自分と人の違いが分かったりもしました。 初めて取り組んだ内省内観では、人を信じることができない、自分自身さえ信じていない…そんな自分に出逢いました。こういう感情が自分の中にあることを知った時は衝撃的でした。 そして、そのことに対してしっかり向き合ったところ、「今の自分を受け入れ、みんなを頼ってもいい」と思えるようになりました。その時、大きな重荷を下ろしたと同時に、心が満たされていくような感覚に包まれました。
そうすると、不思議なことなのですが、こんな出来事がありました。 大きなクレームが発生したのですが、私が出張で出ていてどうしても行けなかったのです。途方にくれていた私に「私が行きます!」と常務がさっと手を挙げてくれました。それまで現場に行ったこともなかった彼女が現場に出向き、誠心誠意、クレームに対処してくれました。初めて「任せてもいいんだ、自分は一人じゃないんだ」と心の底から思えた瞬間でした。
このような体験から、心が変化するこのような学びは重要だと思うようになり、幹部と一緒に学びたいという感情が強くなりました。そこで、私が学び始めて1年後、幹部2人にも通ってもらうことにしました。 ワールドユーでは学びの一環として登山の体験研修があります。初めの頃は、その意義が分からず、何で登山なんだろう、キツイだけなのに…と思っていました。でもセミナー仲間が「すごくいいから参加しなよ」とあまりにも勧めてくれるので、私も幹部たちと参加しようかなと思うようになりました。その一方で、「幹部たちは絶対行かないよな」と勝手にきめつけ、あきらめていました。幹部のことを信頼していていましたが、それほど近しくはなかったので、誘いづらかったのもあります。 でも、ある時、勇気をもって屋久島の登山に誘ってみたところ、「いいよ」と言ってくれたので、幹部4人とともに登ることになりました。登頂を目指して意気込んでいたのですが、体力的にきつくなった幹部がいて、最後まで行くことはできませんでした。でも私としては、みんなで共に行動する、何かに挑戦する、ということができただけで十分満足でした。
下山後、ホテルで話し合いをした時、その幹部が本音を言ってくれたんです。「私はこんなの本当は行きたくなかった」「社長は私の気持ちを考えたことありますか」と。ショックでもありましたが、私は本音を語ってくれたことがとても嬉しく、そこから幹部たちとの距離が一気に縮まった気がしました。
「幹部と本音で語り合えた屋久島合宿」
セミナーの仲間が言っていたように、山での体験学習からは貴重なことがたくさん得られます。いろいろなセミナーに行って、様々なことを学んでいますが、変わり方が全然違うのです。これからも、随時、取り入れていこうと思っています。
意義のあったカナダ研修
カナディアンロッキーを登るという研修には、私はその研修が始まった当初から参加しています。好奇心が強く、自分がやったことがないことはまずやろうとするタイプなので…。 初めてカナダの大地を踏みしめた時、山々が果てしなく続く雄大な景色に感動したのはもちろんですが、とてつもない大きなエネルギーを全身で感じ、衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。 それからというもの、カナダの大地のエネルギーをもらうために、毎年参加しています。信頼する仲間とともに難関の山に挑戦すること自体も、まさに大きなエネルギーになると感じています。
「カナディアンロッキーから毎年大きなエネルギーをもらう。」
今年の夏、4回目となる研修に参加したのですが、今回初めて、ある幹部と一緒に行くことができました。 彼女は登山に関してはほぼ初心者なので、登頂できないかもしれない。けれど、チャレンジすること自体に意義があるし、あの大地を踏みしめ、空気や匂いを感じるなど、あの世界観に触れることが大事、と思っていたのです。
山登り自体は彼女とはプログラムが違ったので、一緒に登ったわけではなかったのですが、あとから「みんなと一緒に登頂できたよ!」「彼女、とても頑張ってたよ」「彼女がいたから、俺らも頑張れた」ということを聞いて、自分が登った時より感動し、胸を打たれました。
正直、「途中でギプアップするかな」と思っていたのです。自分も登ったことのあるコースなので、その辛さはよく分かっていたので…。みんなの助けがあってのことなのですが、それをやり遂げたというのは本当にすごいな、これで彼女も一歩、自分の殻を破ってくれたな、と思いました。また、やろうと思えば何でもできるんだ、と感じました。そのことは彼女自身が驚いていると思うし、一緒に行ってよかったな、とつくづく思っています。 そのような中、彼女とカナダでいろいろなことを話しました。そして、「一緒に自分たちのビジョンに向かって頑張ろう」「ダメな時は原点に戻り、2人で一からやり直せばいい」などと、会社のことを本音で語り合うことができ、今まで以上に絆が深まりました。
「一緒に自分たちのビジョンに向かって頑張ろう」
社員の成長を願う
私は自分がいいと思ったものは、社員たちにドンドンやらせる主義です。今、13人の社員がいるのですが、そのうち計6人がワールドユーで学んでいます。学ぶことによって、1人1人の意識が高まり、明るく前向きに仕事に取り組んでいれば、それが会社の発展につながると信じているからです。 お客様は当社の製品に魅力を感じて取り引きして下さっているところもあるので、「人材よりも、新製品の開発に投資した方がいいのでは?」と考えていた時もありました。 でも、私は、これからは“人”が重要だと思っています。だから、まずは会社の発展よりも、社員の成長を心から願っているのです。社員の成長なくして、会社の発展はないと思っているからです。
実際、社員たちはみんな明るく前向きになってきて、仕事に対する意欲や取り組み方が以前と全く違います。 例えば、私が仕事の指示を出した場合、以前は一方通行で、社員は納得する、しないに関わらず何とかこなしていた、という感じでした。それが、次第に「今はこの仕事で手一杯なので、できません」とか「こうした方がいいんじゃないですか」と、返してくれるようになりました。そして今の段階では、私が言ったことを、どうにか自分たちでやろうとしてくれています。 さらに、「自分たちが行動しなきゃいけない」という意識をもって、自ら考え行動してくれるようになりました。「私たちが会社を変えないといけないよね」と結束して、新たな取り組みを進めていってくれています。若い子たちが改革していくのを見ていると、こっちまでワクワクしてきます。何かに挑戦して成長していく姿を見るのも楽しい。これまで、どんな仕組みを導入しようと、社員たちがそのような感情をもつことはなかったので、学びが浸透しているようで本当によかったなと思っています。
こうして、明るく笑顔でいる社員が増えたせいか、会社の雰囲気もとてもよくなってきています。会社訪問に来られた銀行の支店長さんが「アールアイさんに来ると、何か元気をもらえるんですよね」と言ってくださったときは、ものすごく嬉しかったですね。
また、社員の結束力もどんどん強まってきています。 今、ワールドユーでは、全国から50人の経営者・経営幹部が集まって、世界有数の太鼓奏者の指導のもと和太鼓のレッスンに取り組んでいます。これは、「日本中の中小企業に楽しさを響かせ、そして“和の国”日本を元気にしたい」という熱いメッセージを伝えるためのプログラムの一つで、私も参加しています。会社という枠をこえて、力を合わせ心を一つにして団結する素晴らしさを感じているところです。
「力を合わせてひとつに団結するぞ!」
その太鼓の練習を見た社員たちが、「僕たちも何かやろう」ということになり、「“アールアイ・バンド””というのをつくって、10月の経営計画発表会で披露しよう」と、4月から練習を始めました。 もちろん楽器などありませんから、会社で一式買い揃えました。参加した社員たちは早朝練習に励んだりして、経営計画発表会で見事、素晴らしい演奏を披露してくれました。バンドの経験者は一人もおらず、初めて楽器にさわる人や楽譜をよめない人も多くいる中で、一生懸命みんなで取り組む姿勢、そして、その一体感に強く胸を打たれました。 また、自分たちで「こんなのやってみたい」「こうしていこう」と声をかけ合って、一つのことに取り組み、達成するという体験は、社員たちにとって貴重な財産になったと思います。
それ以降、みんなと一緒にいるのが楽しくて仕方がないという感じで、結束力がさらに強まり、それが仕事にもよい影響を及ぼしています。 例えば、クレームが発生した時、以前は私の方から指示しなければなりませんでしたが、今はみんなで集まって相談し、「これは俺が行くよ」「こっちは○○さんが対処して」という分担が即座に行われるようになりました。社員同士のコミュニケーションが取れているので、何か話し合うときも、決定がスムーズでスピーディです。 このように会社の土台がようやく固まってきたので、これからの発展が楽しみで仕方ありません。
決断と覚悟をもって突き進む
私自身は、学びと内省・内観の積み重ねにより、ここにきて決断と覚悟をもって突き進めるようになりました。 これまで、「順調なんだから、これぐらいでいいんじゃないかな」「これは大変だからやめとこう」というように、逃げていたり、真剣に取り組んでいなかったりしている部分があったことに気付きました。これからは、何事にも取り組み、前に突き進む覚悟でいます。
実は、私は自転車競技出身なので、チームプレーは好きではありませんでした。ですから、ワールドユーで取り組んでいる太鼓も、最初はすごく嫌だったのです。音楽も全くわかりませんし…。ですが、実際にやってみると、だんだん楽しくなってきました。みんなで取り組む素晴らしさや、そこから生まれる一体感に魅せられるようになりました。 そして、この取り組みの結果、「別に私がやらなくてもいいんじゃないか」というのがなくなってきたのです。これまで自分が避けていたことも、「何でもやってみて、探究しよう」と思うようになりました。このようになると、何が起ころうとも恐くありません。自信をもって前に進むことができます。
今、仕事が楽しくて仕方がありません。会社に行くのが楽しいですし、会社でみんなといる時間が大好きです。あの感情なしの、飲み会を敬遠していた頃とは大違いです。 社員たちが「やっぱりこの会社で働けてよかった」「この仲間と一緒に仕事ができてよかった」、そして私たちと関わる方々が「人生も仕事も楽しいよね」と思えるようなフィールドの大きな輪を拡げて行きたいと思っています。
我々日本の中小企業が、まずはラグビー日本代表が揚げたような、社内に「ワンチーム」を作る。そして会社の垣根をこえて協力し合い、助け合って、さらに大きな「ワンチーム」を作り、その輪をビジョン経営を楽しみながら拡げていく。こうすることにより、日本の中小企業が日本本来の“和の魂”を輝かせることができると信じています。
「ワンチームをひろげて和の魂を輝かせていこう」
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