ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

不安ばかりの暗闇の人生から、
幸福感あふれる人生へと転換

株式会社メディアラボ

代表取締役 長島 睦

初めての衝撃

研修3年目に入ってからは、徐々に研修に身が入るようになってきました。自分自身を変えなければ、本当に会社が潰れてしまうと本気になったからです。そして、自己の内面を見つめるという統合ワークという内省内観の合宿で、大きな衝撃を受けました。

内省内観で自分自身を深く深く見つめていったとき、“かまってちゃん””と言う言葉がフワッと出てきました。

私はそれまで、自分がいかに辛い状況に置かれていて大変なのかということを、周りに切々と説き続けていたように感じます。そして、そこから自分が努力をして、いかに上手くいったかを話す、また大変にする、自分の力で解決をする、ということを繰り返していました。大変な状況を作っては、解決して自慢する。上手くいっていることを愚直にやればよいのに、わざわざ大変な状態を作っていることに気付きました。なんのためにわざわざそんなことをしていたのか。内省内観で散々自分を見たあげく、降りてきたのは、人からかまって欲しくて、かまって欲しくて仕方ないということでした。自分を認めてもらうために、大変な自分を演出していたのです。

そのことが分かったときは、もう恥ずかしくて恥ずかしくて。あんなに恥ずかしいことは今までの人生にはない、というくらいでした。人から褒められるために、わざわざ大変さを演出する自分。人から褒められるために、できるフリをする自分。

その時に決めたんです。私は二度とかまってちゃんはやらないと。口先だけのコミットは、それまでたくさんやっていたのですが、本当に魂からコミットしたのは、その時が初めてでした。絶対嫌だと思って…。こんなカッコ悪い自分、許せないと思ったのです。

そしてもう一つ、衝撃的な気付きがありました。

絶妙なターニングポイント

会社の業績も悪くなり、社員との関係も上手くいかず、苦しい状態が続いていた時、セミナーの先輩である和田食品の和田博社長に、次のように相談しました。「今のままでは会社の発展性もないから、何か新しいことをしていきたいんです。それは社員達にとっても有益だと思うのでやりたいのですが、社員は全然ついて来ないんです」と。そしたら、「それは、お前がやりたいだけじゃかいか」と言われたのです。でも、その時は言っている意味が分かりませんでした。「僕はみんなのために、そう思っているんですけどね…。」と返したのを覚えています。

でも、研修3年目の統合ワークで屋久島に行った時、「本当に自分がやりたいだけだ」とやっと気付いたのです。和田社長がおっしゃっていたことが真実だったわけです。会社を良くしたいのも、みんなに良くなってもらいたいと思うのも自分のエゴだ、ということに気付きました。すべて会社を潰したらどうしようという不安からきていて、自分の立場が危うくならないように周りを動かそうとしていることに気付いたのです。 その時、「ああもう自分の意見を押し付けるのはいいや、みんなの意見を聞こう」と初めて思いました。

そして自分が本当にやりたいことは、自分の不安を解消するためにエゴを通すことではなく、関わる人たちが幸せになっていくことなんだと分かりました。みんなに幸せになってもらいたいと、心の底から思いました。

また、私はずっと長いこと何かに依存して生きてきました。ずっと孤独で、ひとりぼっちだと感じていたからこそ、人との関係性を結びたくて、唯一の希望である権威や知識といった“正しさ”との繋がりということに固執をしていたのです。真っ暗闇の中に一握の光にすがっているような感覚でした。自分の道を生きることにずっと憧れながらも、それができませんでした。そこには、上手くいかないのではないかという怖さがありました。上手くいかなければ、人から嫌われてしまって誰も自分のことを大切にしてくれないのではないかという怖さがありました。誰からも見向きもされなくなること。それは私にとって、死んでしまうことと同じくらい怖いことで、そのために依存するのを手放すことができなかったのだと思います。

それを手放すことができた時、真っ暗闇の一握の光ではなく、温かく本当に優しい光に包まれている感覚になりました。そして、初めて目の前にいる人との繋がりを感じ、人を信頼することを手に入れることができました。ずっと心の中の大半を占めていた不安が消えた瞬間でした。

このような思いに至った結果、自分の中にある愛や強さを確信し、自分自身を信じて決断する勇気が湧いてきました。

統合ワークの最終日、「これからは、みんなの言うことを聞いて一緒にやっていこう」と決意を固めた矢先、幹部から電話がかかってきました。なんと「16人が辞めるって言っています」というのです。その当時の社員は34人なので、その半分にあたります。

 

でも、落ち着いて受け答えができました。きちんと対応できる自信もありました。「大丈夫ですよ」、「今までやってきた仕組みも、何もかも全部1回ゼロにしましょう」、「僕の考え方もゼロにします。だから、会社に帰ったら説明するので、今やっているイヤなことを全部止めて、会社を辞めるというのを少し待ってもらうように伝えて下さい」と言ったんです。

そのときがターニングポイントでしたね。もし、その前日に電話がかかってきたとしたら、パニックに陥っていたと思います。

そして会社に帰ってから、みんなの話をじっくり聞きました。「無理やり研修に行かされるのがいやです」、「ルールがいやです」と色々な話が出ました。今まではルールだとか環境整備だとか、仕組みがすべてだと思っていたのですが、それが社員にとって苦痛であるなら取っ払うしかありません。「じゃあ、全部やめよう」、「仕事に集中しよう」と伝えました。

また、社員とも対話をするようになりました。それまでは、社員に「これについてどう思う?」と意見を求めて答えが返ってきたとしても、「それさ、違うよね」と相手の意見を全く聞かずに、自分の考えを押し付けていました。それをきっぱりやめて、きちんと意見を聞くようにしました。このように社員と対話をして決めるようにしたところ、辞めたいと言っていた16人が結局だれも辞めませんでした。さらに、3期連続赤字だと思っていた決算も、黒字に転換しました。

そこからだんだん、心が楽になってきました。「なんだ、みんなに任せればいいんだ」と思ったんです。会社の雰囲気も良くなってきたと感じました。

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