ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

孤独な世界から、
強固な信頼関係で希望あふれる世界へ

株式会社ダスキン福山

代表取締役社長 髙橋 良太

学び2年目にして、会社へと目を向ける

ダスキン創業者の鈴木清一氏の考え方によると、社長も“当番”なんです。私は預かった当番なので、その役目を忠実に果たさなければならないと考えていました。だから、自分の中では「社長の仕事をどうやって成し遂げていくか」というのが最重要課題で、自分なりに一生懸命やってきたつもりでした。

でも、誰も言うこと聞いてくれないし、私が思ったやるべきことをやってくれない。誰も私のことをわかってくれないという孤独感でいっぱいでした。
「私はこんなに一生懸命やっているのに、なんで進まないの?」「問題があるのは幹部や社員の方だろう?」と思い込んでいました。何をしてもなんともならないので、その不満や不安感から、何かあるとすぐ爆発して、「なんでだ~!」「そんなこと聞いてないぞ~!」と感情に任せて社員たちに怒りをぶつけていました。

しかし、ワールドユーで人それぞれコミュニケーションのパターンが違うこと、その人に応じたコミュニケーションの仕方があることなど、大事なことを学ばせてもらっているうちに、2年目にしてようやく「これは会社でもやってみよう」と思うようになりました。

そのことに気付いてからは、社員たちに対して、頭ごなしに怒鳴るようなことはせず、落ち着いて話すよう心がけるようにしました。

例えば、毎週月曜日の朝7時半から1時間ほど行っている幹部会議も、かつての“辛い辛い会議”から“意義のある会議”へと改善されてきました。
会議は、各事業部の責任者から前の週の週間報告がなされ、それに対して私がコメントを返すという内容です。
前は、かなりひどい会議でした。
各責任者からの報告を受けた際、私からすると、1週間何も進んでないように思え、「先週と同じことをいっているね。やる気あるの?」「真面目に取り組もうよ」と、責任者を責め続けていました。

よりによって月曜日の朝、社長から責められたら、エネルギー下がりまくり。このドン下げから始まる1週間、成果が上がらないのも当然のことです。
また、各責任者には部下がいるわけですから、社長に責められたら、同じように部下を責めていたはずで、私自身が周りに悪影響を及ぼしていたわけです。

ワールドユーで学ぶようになってからは、前向きな会議になるよう努めました。
私が指示していることが何故重要なのか、そして、「これをやると、うちの会社は次にいけるから、ここは絶対やりましょう」と丁寧に説明するようにしました。
また、先週言ったことができていなくても、責任者が前向きにスタートできるように言葉がけするようにしました。責任者が、部下にどう発信するかが重要ですから…。

このように私自身は、徐々によい方向に向かってきたのですが、さらに会社をよくするため、行動を移しました。

信頼関係が強まり、新たな世界へ

自分が学ぶだけでなく、「仲間と共に学ばなければいけない」と考えるようになりました。そのために「今後、会社のコアとなる人と一緒に勉強しよう」と、幹部2人と共に学び始めるようにしました。

長年いろいろなところで勉強してきた中で、「社長一人ではどうしようもできない」っていうことがわかっていましたから…。コミュニケーションの仕方や人の心理など、大切なことを幹部が学ぶことによって、よい空気感を社内に少しずつ浸透させていきたいと思ったのです。そして自分自身が変わっていくことの環境を会社に作る事でもありました。

学んでいるうちに、まず、この2人が明るく前向きなり、ブレなくなりました。
人間には、いい状態のとき、悪い状態のときといった波があります。会社に何か大変なことがおこると、一緒に沈んでしまう場合が多いのですが、学んだメンバーは沈んでも早く回復するようになりました。
私も含めて、この安心感、安定感が、社内にいい影響を及ぼしてきています。自分の輝き方が違ってくると、関わる周りもかわってくるのです。

さらに、このメンバーが、段々と私に本音で話せるようになり、信頼関係も強まってきました。
“社長と幹部”といった上下関係が取り払われ、同じ会社というステージに立つ仲間として、さまざまなことに取り組めるという考えにシフトするようになってきています。

例えば、先ほどの幹部会議についても、会議が終わるたびに、「今日の会議はどうだったか?」ということを、2人に聞いています。「私の言い方どうだった?合格ですか?」と。
 すると、「社長はこうおっしゃっていましたけど、私もそう思いました」とか、「あの場面で、あの発言はちょっといけなかったかもしれませんね」と本音で語ってくれるので、私の発言自体もさらに改善されてきた感じです。

このような形で、心通わせ、安心し信頼できる仲間ができたことで、私も孤独感がなくなりました。さらに、不満や不安だらけだった会社が、安心して不安なく進めるという、今までとはまったくちがう世界が開けてきました。どれも、会社が変わるというよりも、「自分が変わり、世界が変わった。」という事だと思います。

さらに、会社の中心になっていくメンバーを4人選び、私と5人でモッチョム岳研修に臨みました。「これからの10年、このメンバーで会社を良くしていく」ということをメンバーに告げてのスタートでした。それから各々の研修も始まり、時には2人、3人と同じ時間と場所を共有しながら進めていきました。

定期的に内省・内観を繰り返し、自分の中の相反する反応を統合して自分自身の許容範囲を広げていったのです。「もしかして、変わらなければいけないのは自分?」「自分が変われば相手との関係が本当に変わるのか?」と、徐々にではありましたが、他人に向けていた矢印を自分に向けていくようになりました。

会社での言動・行動も段々と変わってきたように思います。変化は加速度的です。ほとんど変わらなかったりした時期から、段々と目に見えて変化していくようになりました。

世の中のお役に立つ

2018年、カナディアンロッキーの登山研修に参加しました。そこでは、自分の細胞の一つ一つが地球と一体となる、という不思議な体験をしました。長い長い山道を歩いていくと、物理的に自然に一体となる、というのもあるのですが、もう一つ、時空を超えて世界と一体となる、という感覚を味わいました。

例えば、シルクロードを通って三蔵法師がインドまで行って帰ってきたみたいな、そういう先人の人が歩いた道と重なるような気がしたのです。自分が今歩いているだけでなく、時空を超えて、自分が今ここに至るまでの歴史だとか、ご先祖様だとか、そういうものと一緒に歩いている感覚がありました。

このような貴重な体験や多くのワークを通して、私がこの世に生まれてきた意味を深く考えるようになり、自分に与えられた役目、使命があることに思い至りました。「私にはやるべきことがある」とわかってくると、それまで「何をしてもなんともならない」と思っていた世界が、だんだんと希望の満ちあふれた世界に見えてきました。

ダスキンの経営理念や考え方の中に「道と経済の合一」という言葉を鈴木清一創業者が残しています。
“道”というのは徳積み人らしく生きていく「人の道」、“経済”というのは社会発展のこと。この両方が必要で、自分たちの経済活動が世の中の人の役に立って、なおかつ周りを幸せにしていくという考えです。

そこでは、自分自身の利益だけでなく、他者への貢献や奉仕ということも大切にすることで、これは今の時代に求められていることだと思います。日々、その視点から仕事にあたることによって、世の中のお役に立ちたい。そしてそれが必ず実現できると思えるようになりました。

一人一人が輝いていくことで、「ダスキンさんが来ると、みんな明るくていいね」、「このお店で働きたい」と言う人が多くなり、人が集まってくるような会社にしていきたいと思っています。
これからも、仲間とともに、自分の使命を果たすため、尽力していこうと決意を固めているところです。

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