ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

「売り上げ至上主義」から 「地域と共に幸せになる共存・共栄の道」で生まれた奇跡。

株式会社ヴァリアント

部長 矢部 明

「チームビルディングや地域貢献に手応えを感じ、結果にもつながってきた矢先、私にとっては大きな試練の時期がやってきました。」2017年の6月に社長が交代したのです。
新体制となったことで私は『これからしっかりと新社長を支えていこう!』と強い気持ちを持ちました。しかし、新体制がスタートし徐々に新社長の情熱とスピードについていけなくなる自分を感じはじめたといいます。

「社長は激励のため店舗を毎日まわってくれるようになりました。社長は「みんなの頑張りを認めたい」という想いで始めたことだったのですが、就任したばかりだからこそ、会社をよくしようと情熱を傾けるあまり、その熱意に社員やキャストたちが委縮し始めました。私のもとにスタッフからの相談が多く届き、それを社長に伝えるという、板挟みの苦しみがありました。」社長と自分との間に情熱のギャップがあるのではと悩み始めた矢部氏。

「不安が増えていき徐々に気持ちが「守り」に徹し始めました。自分はこの会社で長く続けていくことはできないのではないかと思い始めてしまったのです。
ワールドユーに来ていても、こんな悩みを相談したら恥ずかしい思いをするのではないかと勝手に思い込み、人にも聞けず、会社でも本音を言ったら評価が下がってクビになるのではないかと、言いたいことが言えない状態に。」そうして矢部氏は自分の中に閉じこもってしまったと言います。

「食欲もなくなり、眠れなくなり、疲れが抜けない、役員と部長でつながっているメールでも「また怒られるのかな」など思いメールを開くことさえできなくなるという悪循環に入ってしまいました。
精神的にも、自分を守っていた鎧がボロボロになってしまったような感覚で、痛みが心に突き刺さり、完全に意気消沈していました。
社長は自分を成長させるために言ってくれているのに、その時の私は、「自分は能力がない。貢献できていない。いてもしょうがない」というふうにしか受け止められなくなっていくのです。」
今になって思えば「思い込み」という幻想に飲み込まれることがどれほど大きな影響があるのかと、そしてそこから抜けるのは並大抵のことではありません。

その頃、ワールドユーの屋久島での内省内観研修に行く話が舞い込んできたと言います。
「自分が辞めてその分の経費がなくなれば会社も楽なのに。辞めようと思っている人間がいってもしょうがない」と思う一方で「本当の意味で会社を辞めたいわけではない、この研修で乗り越えたらチャンスはあるかもしれない。この研修に賭けてみよう!」という自分もいました。
「参加して、それでも難しいと思ったら会社を辞めよう」心の中で強い決断をして屋久島へ向かいました。

屋久島に着いた時はエネルギーが極端に下がった状態で、内省内観はなかなか進みません。
次々と内観が進んでいく周りの仲間たちを見ながら、何度も「もうやめてしまえばいい」「適当にやっているふりをして終わらせてもいいんだ!」という自分と「いや、駄目だ!俺はもう一回変わりたいんだ」という自分が葛藤し続けたといいます。

とうとう、自分が最後の一人になってしまいました。それでも、自分が本当に納得するまで周りを気にせずに向き合いつづけると決めて取り組みました。
「なぜ自分は評価ばかり気にするのか?」「結果を出さないと価値がない」と思い続ける自分、「誰かに助けてほしい」と言えない孤高に頑張り続ける自分。自分自身と深く向き合ったとき不思議と腹がすわってきました。

なんとか内観を終えた瞬間、トレーナーからすっと声がかかりました。
「今、屋久島にはちょうど、前社長(現社長の兄)も来ている。きっと何か大切な縁だね。何か話したいことがあれば話してみない」と。
私は自分が辞めようと思っていることをトレーナーに伝えました。そして「それを前社長に正直に誠実に話してみたら?」と背中を押していただきました。

その話の後、トレーナーにも見守って頂きながら前社長と話すことに。もう言うしかない、腹をくくって「自分は辞めようと思っています。
これ以上会社には貢献できません」と伝えました。「どんな風に思われるのだろうか」「一体何を言われるのか・・・」苦しい気持ちで顔をあげると、目の前にはポロポロと涙を流す前社長の姿がありました。

私の話をただ静かに聞いてくださっていた前社長は、「すまなかった。もっと早く気づいていれば、こんな大変な思いをさせなくてすんだ」と涙を流してずっと謝られたのです。

その瞬間不思議なことに「自分は大切にされているんだ。この会社にいてもいいんだ」と、心がす~っと癒されて信じられないほどあたたかい安心感に包まれていきました。
自分自身も初めて本音を言えたような気がして、すっきりした気分でした。たった1時間の面談でしたが、前社長の本音も聴けて、自分の想いも伝えられて、お互いに理解し合うことができたことで、一気に元気がみなぎってきたのです。

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