ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

「売り上げ至上主義」から 「地域と共に幸せになる共存・共栄の道」で生まれた奇跡。

株式会社ヴァリアント

部長 矢部 明

「昼夜を問わず、働き詰めてきた仕事人生。「売り上げが下がるとクビになる」脅迫観念のように思い続けプレッシャーを抱えながら必死に走り続けている。
過去を振り返るとそんな自分しかないんですよ。」開口一番そう語る今の矢部氏の表情は、言葉とは裏腹に穏やかなエネルギーに満ちている。
厳しいと言われる業界の中で本気で働き続けたからこそ見えてきた新しい世界。「売り上げ至上主義」から、チームで楽しく働きながら「地域への貢献」に邁進する矢部氏への変化の裏側にはどのような軌跡があるのだろう。

「ヴァリアントに入る前は福井県を本拠地とした会社で働いていました。当時は朝の6時に起きては店に1番に行って店開け、20時まで働き、晩ごはんを食べたらまた店に行き仕事をする。家に帰るのは夜中の3時、睡眠時間は約2時間、こんな毎日が続きました。
食事はポケットにパンやおにぎりを入れておいてスタッフに気付かれないようトイレに行きぱっと食べるんですよ。困るのは飲み物も取る暇が無いから、トイレの蛇口から直接水を飲んでしのぐ。そんな状態でした。」
『会社を辞めたい』何度も頭の中によぎる。
「でも一緒に働いている社員やアルバイトのためには業績が上がるまでは辞めれない!そんな想いで毎日必死にやっていました。」
そして1年後、業績は上がり安定した頃に退職を決意、今のヴァリアントへ縁を頂いたのだと言います。

当初のヴァリアントは、まだまだお客様が少ない状態。矢部氏は当然のように今まで通り、朝7時から夜21時まで店で働き、数字を上げるためにがむしゃらに働きはじめました。
しかし、ヴァリアントは今までの会社とは少し違ったと言います。

ある時社長から「業績を上げてくれるのは嬉しいけれど、今のままだと部下が育たない。必ず休みなさい」と言われ、月8日休まないと罰金という仕組みまでできたと言います。
「今にして思えば私の身体を心配してくださっていたことも解るのですが、当時の私は“罰金を払うのは嫌だから仕方なく休もう”という感覚です。
これまで働いてきて自分の中に刻まれていた“結果を出さないと価値がない”、“数字を下げるとクビになる”という信念は根深く「業績を上げなければお前らもクビになるぞ」と部下にプレッシャーを与え、そのやり方に従えない人間はいらない、というスタンスでした。人を信用せず、自分ひとりで頑張ろうと孤軍奮闘していた感じです。」と当時を振り返る矢部氏。

「人材に関しても課題がありました。数字が少しでも落ちると厳しく追及されるという当時の状況に店長たちが悲鳴をあげ、生え抜きの優秀な社員がどんどん辞めていったのです。
これから店舗を拡大していくという時に人材が減っていくという、どうにもならない状況に社長も悩んでいるようでした。」
何とかしたいというジレンマの中でも自分の店舗を守るのが精一杯、チームワークというのがほとんどなかったと当時の心境を振り返ります。

『どこかの店舗の業績が落ち始めると、自分たちじゃなくて良かったとみんな思っていた。同じ店長という立場で気の毒と思うけどその間に自分の任されている店舗の数字が落ちないようにまた、不備など無くして役員から突っ込まれないよう改善に力を注ぐ。同情はするけど助ける時間があるなら自分の店舗を守る。横のつながりなんて全く感じなかったですね。みんな自分のことで必死だったんです。』
チームがバラバラの中、さらに孤立してがむしゃらに働く時代が続いた。

「そんな私を何とかしてあげたい。と役員は心から心配してくれていたのだと思います。」当時、役員が学ぶリーダシップの研修へ参加するようにと声がかかったのはそんな最中だったといいます。
ワールドユーの研修に通い始めた最初の頃は、仕事のことで頭がいっぱいで、自分が店舗に居なければ状況がわからない。ライバルが仕掛けてきた!いつものお客様が居ないなどが起きた時、どのような判断をして対応するのか!自分でないと出来ない。研修になんて参加している場合ではない!と思っていたと言う矢部氏。
当然学びには打ち込めず、研修の合間も仕事、仕事、研修終了後も朝まで仕事をし、講義の間に眠るという状況が続いたといいます。

「当時を振り返ると本当にこんな状況の自分を社長が良く辛抱強く見守って、研修に送り続けてくださったと頭が下がります。」

しかし、ある出来事をきっかけに、学びにスイッチが入ったといいます。それは、ギャンブル依存症対策を目的とした営業に関する規制でした。
「今までは、お客様を集めようと思えば、店長の考えひとつで何でもできたので、自分の力で売り上げを達成することができると思い込んでいました。
しかし、この規制により今までの自分が得意としていた手法が使えず、何をすべきなのかわからなくなってしまったんです。」そして悩みぬいた先に行きついたのは仲間の存在。

「一人では何も出来ない、これから必要なのはマンパワーだと気付いた瞬間でした。」

「はじめて学び続けてきたことが、耳に入りはじめてきたんですね。そうかコミュニケーションなんだ。自分一人でどうにかなると思ってやってきたけれど、それは違う。
これからは、スタッフの力を借りなければ何もできない!と気づいた時、はじめて変わり始めました。」

みんながついてきてくれるリーダーになるために、懸命に学んでいこうと、自分が変わろう!と決めた瞬間でした。

ヒーロー達の物語一覧を見る >