ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

苦節40年 不平不満、不安の会社に温かい風が

タカラ印刷株式会社

代表取締役 林 克重

売上は伸びるも、不平・不満・不安だらけ

1990年代はじめ、私が35歳のころ、日本でもMacが出始めました。
これがあれば、製版の技術がなくても自由に色をつけたり、文字を修正したりすることが簡単にできるわけで、何とか社内でできたら、お客様にかなり喜ばれるなと思って。
それまで設備投資をしても失敗の連続だったので、今度は慎重に慎重を重ねて導入しました。
 
Macを導入したことにより、会社としては大きな転換となりました。
他に導入している印刷会社さんは近くにありませんでしたからね。
便利な印刷会社になった訳ですから、お客様から仕事がきて、成長軌道に乗りつつありました。

そんなとき、福島市に外資系の医薬品メーカー様が工場を建設しました。そこで製造する医療機器関連の印刷物の発注をいただけるようになったのです。
それが、当社の医療関係部門の基点となり、今では医療機器・医薬品メーカー40社以上と取り引きさせていただいています。
 
お陰様で、取り引き先も増え会社自体は成長し、「お客様に見ていただける印刷会社」をつくろうということで2005年には新工場も建てたりしたのですが、まだまだ嵐のような会社でしたね。

人は入るんだけど、社員が育たない、育ったと思ったら辞めていく…その繰り返しばかり。
常に会社の中が不平・不満・不安だらけ。
なんせ、残業も当たり前という感じで、“仕事する人が一等賞”みたいな、仕事さえすれば良いんだという会社でしたから…。
私自身も、売上が上がり利益が出ても、全然、幸せ感がなくて…。
「いい会社をつくりたい」と思っていても、うまくいかない。そういう状態がほんとに長い間続きましたね。

衝撃的な出会い

2016年8月、古くからの知り合いである会計事務所のMCSグループの鈴木正人社長からワールドユーアカデミーの会員になっていて、「今度、福島で講演があるからご子息と一緒に時間を空けといて」って言われたんです。

過去に振り回され切羽詰まっていた私は、講演の最後に質問したんです。
「様々なミスや失敗が続いて社員が疲弊しているんです、我々って過去は変えられないですよね。過去は変えられないけど、未来は変えられるっていいますよね。それって、どういう風に考えればいいのですか」と。
そしたら、非常に私の心に沁みる一言が返ってきたんです。

仲村恵子社長が「過去からは学べることたくさんあるでしょ。過去から学べばいいじゃない。」と言ってくれたんです。
「“学べる”ということを言ってあげたら、社員も肩の荷がおりるでしょ。そこから未来をつくると考えてごらん」と。

その一言が、心にピーンと来ましたね。
そこから、「失敗は学ぶもんだ」と思えば良いんだと切り替わった。

印刷会社って失敗の連続なんです。
納品した物に問題があると、取引先から「返品」、さらに「是正対策書」を提出するよう言われるわけです。
特に医療関係は品質管理をしっかり行わなければなりません。

そんなとき、私は社員に「過去は変えられないんだから、しょうがない、改善するしかない。しっかり対応して、これから頑張ろう」という話ばかりしていました。
過去の失敗から学ぶ、失敗を引きずらないで前向きになるヒントを得た感じがありました。

「素晴らしいことを教えてもらった、社員の肩の荷を降ろしてあげられるかも」と思い、この講演をきっかけに、ワールドユーの会員になることにしました。
実は、私にはもう一つ行わねばならない、大切な事がありました。それがここだったら上手く行くかもしれないと思ったのです。

事業継承のために学びたい

ワールドユーに行きたいと思った1番の目的は、事業継承です。
他の印刷会社で5年間修業した息子が2012年からうちに戻って来たのですが、とにかくお互いにコミュニケーションがうまく取れていなかったのです。

息子は「会社を改革しなくちゃ」と入社してきて、実際、会社の中身を見ると色々なことに疑問を持ちますよね。そして、修正しようと彼は彼なりに頑張っている。
息子に任せている部分もあり、どうしても考えを伝えたくて、いざ話をしようとすると気持ちが通じない。お互いに感情的になってしまう。

私が意見を言うとバーンと反論が出てきてしまうし、息子からすれば「親父は何で口を出すんだ」って感じですよね。
そんな訳で「今の会社をどう変えていくか」ということも、2人でじっくり話したこともなかったのです。

私は現在63歳ですが、前々から65歳で事業継承をしたいと言っていたのです。
けれど、事業をバトンタッチするにあたって、幹部の育て方も分からない。
事業継承といっても自分は親が死ぬということで戻ってきた訳で、親から何か指導を受けたこともない。教えてもらったのは「お客様を大切にしろ」ということだけ。

そこで、事業継承というものを、ワールドユーで役員・幹部と一緒に学べたら、できるんじゃないかなと思ったのです。
私は昔から、数多くの研修会や中小企業大学校など、ありとあらゆるものを受けましたが、「私が求めているものと、ちょっと違うよな」って、ずっと思っていたのです。
けれど、ワールドユーの講演内容は、ちょっと今まで聞いたことがない様な内容で、「これだったらいけるかも」と強く思ったのです。

「私が半年間まず先に行く。私がいい経験をしたら、入ってきてくれよ。」と、息子と高橋常務に言って、ワールドユーの会員になりました。

自分は変わるも、社内には風は吹かず

最初の1年目は、「コミュニケーション技術のスキルを身に付けよう」など、テクニック的なことを中心に学びます。
メタコミュニケーション(メタコミ)というんですが。
そのなかで「人と自分が違っていいんだ」という学びがあるんですね。

それまでは、社長として「社員と自分の違いがあっちゃいけない」と思い込んで違いを認められませんでした。
私は「社員は私の言うことを聞いてくれない」、社員も「社長は私の言うこと聞いてくれいない」とお互いに思っている訳です。
それって、自分の興味を持っていることと相手の興味を持っていることが違うのだから、当然そうなりますよね。

「違うんだけど、それで良いんだ」ということをメタコミで学びました。
今まで経営者としてやってきたんだけれど、そんなことは全く考えたことがなく、「へー!」って思いましたね。

だから、息子と話すときも「違っていいんだ」ということをベースに、初めて話すことができました。
それまでは「違ったらいけないんだ」「こいつは私と同じ考えになってくれなきゃ困る」と指導するみたいな形になってしまっていたのです。
これはよくないですよね。お互いに張り合うことになってしまうから。

社員との話し方も、今みたいにゆっくり話さなかったですからね。
自分がいっつも焦っていて、「この会社を何とかしなきゃならない」という思いしかありませんから、自分の思いをぶつけるように、ガガーってしゃべっていたのです。
社員にとってはいい迷惑ですよね。
そんなことも知らず、私が勝手なことばかり言っているので、社員も辞めていく訳です。
自分で自分の会社を壊してるみたいな感じですね。

相手を認める、ゆっくり話すということを実践するなど、自分は少しずつ変わっていったのですが、幹部や社員とのコミュニケーションは、まだまだ上手く取れません。
実際、どこからどの様にすべきかを苦悩する日々でした。

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