ヒーロー達の物語
HISTORY OF HEROES

「やっぱり幸せじゃないなって。感情を殺して生きていってもやっぱり幸せじゃねーなって思えた。」 「あるべき姿」を模索し、完全結果主義者だった鈴木正人社長が今求める幸せな働き方とは。

MCSグループ

代表 税理士・CFP 鈴木 正人

 

「どんなに目をつむっても、人間には感情があるんだよね」

 

トレーニングを受けるようになるわずか2年前、「僕は社長なんだから」と自身の頭の中で描き上げられていた“あるべき”社長の姿があった鈴木氏は、その秘書をサンドバッグのように繰り返し叱咤していたそうですが、社長として社員に期待していたために、時にきつい言葉を投げてでもパフォーマンスを上げるべきだと行動する一方で、社員を傷つけたくない、幸せにしてやりたいという感情をうまく現実化できず、心の底から「みんな、おはよう」と言う気にさえなれなくなり、会社に行くのがこわくなった時期もあったそうです。

 

 

「平均して(社員が)10人いるとして、そこに家族が3人いるとしたらその3倍はいるわけだよ。そしたら100社いたら3000人の生活かかってるわけだよ。そういうのを理屈で考えていけば中途半端な仕事はできない。」

 

そんな使命感が鈴木氏にとって長年の原動力でしたから、彼からの社員に対する期待も大きく、顧客に良いサービスを提供するという目標の元で集まった仲間同志だから、社員一人ひとりとの人間的繋がりと言うよりも、会社として出せる数字や結果を重視し、「社長と社員の関係であって、それ以上でもそれ以下でもあってはいけない」という社長としての自分が心の中を支配していました。

 

 

「社長になった以上はとにかくやんなくちゃいけない、っていうもんだと僕は思っていた」

 

「普通がいいという病」を執筆した精神科医の泉谷閑示氏は、東北大学医学部を卒業後フランスの大学院にて音楽を学んだ末に、精神療法を専門とするようになるという異例の経歴の持ち主ですが、泉谷氏によると、類人猿を除く多くの動物は、そのとき身体に必要なものについて「頭」で余計な理屈をこねず、いつも「心」=「身体」の状態にあり、それが生きもののあり方なのだと言います。

 

ところが、現代に生きる人間の多くは、「頭」が独裁者としてふるまい“専制国家”のようにコントロールしていて、頭で考える“あるべき姿”と心で感じる幸せがずれてしまっている事が多いのだそうで、確かに、鈴木氏は「頑張れば頑張るほど、理想が離れていった。」と数年前の自分の体験をなぞるかのようにかみ締めていました。(Kindle: 「普通がいい」という病)

 

 

「無意識の思いは、意識的に思うことの2万倍の力で人を動かしている」

 

目標に向かって足並みを揃えることが出来ない、自分の求めるものにそぐわない社員がいると否定的にみてしまい、「こうしなくてはいけない」という社長として思い描いていた理想像に縛られいましたが、やがて鈴木氏はその理屈を自分に言い聞かせているだけだと気づいていきます。

 

「やっぱり幸せじゃないなって。感情をどんなに殺して使命のために生きていってもやっぱり幸せじゃないなって、僕自身が幸せじゃねーなって思えた。」

 

幸せを感じさせる脳内物質などに関する研究により、“世界で一番幸せな僧侶”と称されるようになったフランス人の僧侶マチウ・リカール氏は、真実は物事のあるがままを理解することにあり、多くの人は外に向かって物質的な何かを求めるばかりで、内在する完成の可能性に気づいていないとして、著書「Happiness幸福の探求-人生で最も大切な技術」の中で、次のように述べています。(p32)

 

「ちょうど、自分の小屋の床下に埋められた宝の存在を知らずに、どん底の生活をする乞食と同じである。自分本来のあるがままの姿を実現することは、隠された宝を手に入れるのと同じことで、本当に意義深い人生を送ることを可能にしてくれる」

 

 

「会社の空気が沈んじゃうというか低迷しちゃうというか、それが怖くて近づけない」

 

確かに今、鈴木氏が鈴木正人という一人の人間としてあるがままを感じようとしている中で、以前は向き合うのを怖いとさえ感じていた周囲に対して社長と社員としての関係ではなく、「1人の人間としての付き合いを持ちたいなって考えるようになった」という温かい感情を口にしており、正直に自分の感情と向き合いアウトプット出来るようになった分、会社の仲間を見つめる眼差しも愛に変わりつつあります。

 

「使命感ではなく、仲間なんだから、彼らのペースを大切にしながら一緒に目標へ向かっていきたい」と思うようになったのは、去年初めて会社の幹部3人と一緒に山登りをした時からだと鈴木氏は振り返ります。

 

 

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